おっさん達が食後のひと時を楽しんでいる。
パイプをふかす者、バイオリンを奏でる者、その音色に聞き入る者、寝落ちしている者すらいる。
またテーブルの傍らにはワインボトルが置かれ、寸胴のグラスでワインを楽しんでいる。
初めからこんな「地味」な絵で読者がついてきて下さるか一抹の不安を覚えつつも取り上げたかったのは、それはGustave Courbet(以下、クールベ)が描いた作品だからに他ならない。
あっ、そういうことね!
という反応がほぼ皆無であることも想定の範囲内であるが、そもそもクールベ自体が知る人ぞ知る画家であるのだから致し方ないことである。
クールベは1819年6月に、フランスはスイス国境に近いフランシュ・コンテ地方のオルナンという小さな村に生まれた。
パリの大学で法律を学ぶ傍ら、本格的に画家を目指して絵画の勉強を始めたクールベであったが、当時はまだロマン主義の風潮が色濃く残り、ジェリコーやドラクロワに代表される想像的かつ感情的な画風が持て囃されていた時代であった。
そのような中、政治的にもフランス絵画史においても大きな転換点となる1848年のいわゆる2月革命が起こる。民衆が立ち上がったことで7月王政は廃止され第二共和制に移行したが、政治の民主化が進む中でサロンにおける入選作品のモティーフもより俗世的なものへと移っていった。
今回取り上げた「オルナンの食休み」は、そんな渦中の1849年に描かれたものである。
故郷オルナンのおっさん達の日常を描いた薄暗い絵は、同年に開催されたサロンでドミニク・アングルやドラクロワらの目に留まり、2等賞を獲得して政府買上げとなった。
そしてフランス絵画史を大きく揺るがすことになる1851年のサロン、すなわち農民の葬式を縦3.1m×横6.6mの大画面で表現した「オルナンの埋葬(に関する歴史画)」(下絵)の出展により、réalisme(レアリスム;写実主義)という一時代を確立していくことになる。

さて、気難しい話もこれくらいにして、このブログのテーマは「画中に描かれているワインを自由に想像しよう」というものである。「想像」というか殆ど筆者の「妄想」である。特に正解もないので、自由気ままに妄想させて頂くことにする。
《後編に続く》
Gustave Courbet “L’Après-dînée à Ornans” (1849) フランス・リール宮殿美術館所蔵
Written by Fumi “Frank” Kimura
In my understanding, wine is a part of daily life. I believe this painting represents such role of the wine based on daily life.
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Thanks for your comments.
Agree with you.
Please check the sequel planned to be published on the 22nd.
I’ll mention that subject.
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