名画のワインリスト = Erico × Frank(前編)

令和元年も年の瀬が迫って参りました。
2018年7月15日、バロック絵画を代表する画家 Rembrandt van Rijn / レンブラント・ファン・レイン (1606-1669) の誕生日に合わせてスタートした本ブログも前回までに72の投稿を行い、つまり36の名画や時々コラムを扱ってきた訳ですが…
ちょうど季節の節目ということもありますし、2週に分けて執筆しているEricoさんとFrankの対談をお送りしようかと思います。

まずは簡単に2人の素性から。これまで敢えて表に出してきませんでしたが…
Ericoさん♀はフリーランスのデザイナーとして活躍してらっしゃって、本ブログに出てくる可愛らしいイラストも全て描いてくれています。そして時々、フォトグラファー。イギリスに留学してらっしゃって、言葉の節々からTate愛を感じます。きっと、そう。彼女の作品はこちらから購入できます。素敵でしょ♪
Frank♂はインベストメント・バンカーとして、日頃はM&Aとか資金調達とか、ちょっと堅苦しい仕事をしています。そして時々、いやしばしば飲兵衛。出没エリアは銀座、神楽坂、南青山、恵比寿。美術好きなのは母親が学芸員だった影響でしょうか、小さな頃からよく美術館に連れ回されてました。
2人ともワインスクールL’école du Vin / レコール・デュ・ヴァンに通いながら一般社団法人日本ソムリエ協会認定のワインエキスパートを取得し、ワインの奥深さにどっぷり浸かっている、そんな日々を過ごしています。
ちなみに学年は違えど同い歳、30歳台前半からそろそろ半ばに差しかかろうとしています。
どうです、意外でしたか?

さて、対談場所に選んだのは、表参道の青山学院大学すぐ近くのワインバーGRAPES OMOTESANDO | CHEESE & CHOCOLATE。地下に広がる仄暗い静かな空間は都会の喧騒を忘れさせてくれ、まっすぐにワインと向き合える、Frankにとってかけがえのない「アジト」です。哲学的で温和なマスターのMr. Yoshinobu Taga (Taga-san)と、時折魅せる陰すら素敵なソムリエールMs. Eiko Ono (Ei-chan)にもここで感謝を伝えたいと思います。大好きなお2人、読んでくれてるかしら?

では、EricoさんとFrankの対談をごゆるりと…

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・

 

Ei-chan:ワインは何になさいますか?
Frank:最初はやはり泡でしょう。BOLLINGERにしようかな。
Erico:お腹も空いたので…何食べましょうか?
Frank:私は一昨日も来たんで笑、Ericoさんにお任せしますよ。
Erico:そっか笑。「サーモンのタルタル」を頂きたいです。
Frank:あと私が好きすぎる「合鴨のパストラミ」かしら。
Ei-chan:畏まりました!

IMG-0473

 

Frank:さて、どこからお話しましょうか?まずはこのブログを始めたキッカケですかね。
Erico:そうですね。桜の下…お互い何かをしたいと考えてたんですよね?
Frank:そう。桜の下、ピクニックをしていたら、Ericoさんが隣に座ってらっしゃって。私も当時はワインエキスパートを取りたてで、今後の「ワインとの向き合い方」について悩んでたんだよね。
Erico:へぇー。
Frank:私、他人と同じことはしたくない性格だから。「絵画とワイン」ってありそうでない組み合わせだなと思って、酔ってぽろっとEricoさんに夢を語ったのが始まりだね。そうしたら「私もやりたいと思ってました」と賛同して下さって。恐らく、一人だったら「やるやる詐欺」でここまでできなかったと思うんだけど、Ericoさんが一緒にやろうと言ってくれたから。
Erico:最初はびっくりしました。同じようなこと考えてる人が近くにいるなんて思わなかったから。でもあのあと、早かったですよね。桜の季節だからピクニックが4月上旬の出来事だとして、7月15日にはブログをローンチした訳だから。
Frank:お披露目をレンブラントの誕生日にしたのは、ちょうど良い目標が欲しかったから、それだけ笑
Erico:私は大好きな美術とワインを「文字」にしたかったし、自分にしか書けないネタを探していた、そんな状況でした。そんなタイミングでちょうど良く「融合」したなと。

Ei-chan:Ericoさんは美術と関わってらっしゃって、なんとなく「絵画とワイン」に流れるのは自然ですけど、Frankさんはどうして「絵画」なんですか?
Frank:母親が学芸員だったというのもあるけれど、投資銀行という業務をしていて色々な人たちと日中交わる中で「自分と向き合う時間」が欲しかった、それが「絵画に没頭している時間」だったということなんでしょうね。「絵画を介して自分と向き合っていた」と言った方が良いのかしら。一人になりたい時に美術館にふらっと行く癖があるんですよ。
Erico:確かに絵画って「自分が話しかけたら対話をしてくれる相手」ですよね。余計な会話なしに、真に迫れるというか。
Ei-chan:でもそれって、ワインとの向き合い方に似てますよね?
Erico & Frank:そうなのよ!
Erico:ワインも個性があって色々話してくれる。たまにダンマリな子もいるけど。
Frank:そう言えば、一昨日飲んだダンマリな子のダンマリ感、半端なかったよね笑
Ei-chan:そうなんですよ、なかなかシャイな子で、こっちから「元気?」とか「名前なに?」って話しかけても全然答えてくれなくて。めちゃくちゃ気難しい子でした笑
Frank:絵画にもそういうのあるよね。フレンドリーに「開いて」くれる子と、この子果たして何をおっしゃりたいんだろうという子と。絵の場合は、ワインのように「開く」ことなく、にらめっこして終わっちゃうこともあるけれど…ところでお2人は美術館とか行かれますか?
Ei-chan:私はすごく好きで、元々美術関係の広告代理店にいたので、身近な存在でした。
Taga-san:私は箱根で働いていたことがあって、その時良く行ってましたね。彫刻の森美術館とかいっぱいありますからね。ソムリエの資格を取ったのもその時です。
Frank:それ以上にTaga-sanが箱根で働いてたことにびっくりだけど笑。箱根と言えば、私はポーラ美術館好きだな。
Erico:私も好き。あそこコレクションだから、蒐集家の趣向が見えるから、そういうのが楽しい!

Erico:このぽわーっとしてるの、撮れるかな。あ、スモーキー、良い香り!
Taga-san:林檎の木のチップをスモークしてます。
Frank:ここは各自で摘みましょうか笑。あ、うまっ!

IMG-0474

 

Frank:一番最初の「名画」を選んだ理由は何でしたか?私だったらGustave Courbet / ギュスターヴ・クールベで、EricoさんはHenri Matisse / アンリ・マティスだった訳だけれども。私はクールベのような芯のある人間になりたいと昔から思ってるんですよ。
Erico:そこちょっともう少し聞いて良いですか?笑
Frank:クールベって時代の転換点じゃないですか。当時のサロンは神話とかを主題とした歴史画がメジャーだった中で…
Erico:扉を開いてくれた?
Frank:そう。彼が「石割人夫」とか「オルナンの埋葬」とか写実的な作品を残してくれたから、印象派が陽の目を見た訳じゃないですか。勿論、そんな世間に受け入れられる訳もなく、ただパリ万博の会場の隣のギャラリーを貸し切って「クールベ展」を自ら開催しちゃうとか、そういう反骨心というか頑固なところが好きかな。
Erico:私はクールベというと「こんにちは、クールベさん」の印象が強いかな。ナルシストというか。自画像も「かっ」と瞠いているし。
Frank:普通逆だよね。パトロンの方が立場的に上のはずなのに、普通の画家だったら「こんにちは、●さん(パトロンの名前)」だよね。でも、そんな「クールベさん」が意外と好きで、自分も「曲げたくない信念は貫き通そう」と思う訳ですよ。逆境の中で意思を貫き通した彼のことを尊敬すらしているし。
Erico:確かに彼がいなかったら美術史も大きく変わってたかもしれないよね。私はマティスだけど、Frankさんみたいに画家を尊敬しているというよりかは…自分の人生の中で「色彩」ってひとつ大きなテーマで、そのキーワードで最初に出てきたのがマティスだったの。マティスは晩年身体の自由が効かなくかった時にでもアシスタントが絵の具で塗った紙をハサミで切ってそれを貼り付けるという方法で作品を作っていた。彼にとっては、とにかくどこまで行っても「色彩」だったんだなと。「色彩の魔術師」って呼ばれる画家は複数いるけど、彼は別格だなと思っていて。
Frank:マティスって凄いと思う。あれだけセンセーショナルな色遣いをしながら、どこか纏まってる。あれって何なんでしょうね?
Erico:彼にとって色とりどりであることは、至ってナチュラルなことなんだと思います。だから赤を使っていようが、装飾的なデザインを描いていようが、彼のフィルターを通してキャンバスの中でその世界が出来上がっていたんだと…。
Frank:「色彩」っていうと、私はHenri Rousseau / アンリ・ルソーが思い浮かぶんだけど、また少し…というか全然違うよね。
Erico:ルソーと言えば、アレですよ。小説から彼のことは色々と知り始めたけど。
Frank:アレね、原田マハさんの「楽園のカンヴァス」ね。私もここ数年で一番ヒットした小説だわ。超おもしかったし、感動した。
Erico:鳥肌立ったね。あーゆうのもっと読みたい。話が少し戻るけど、自分の美術に対する愛をどうやったら表現できるんだろうとその方法を探していた中で「楽園のカンヴァス」と出会えたことが、このブログを始めるキッカケのひとつになったのかもしれない。
Frank:実は私もブログを書くに当たって「楽園のカンヴァス」には少なからず影響を受けてるんですよね。ちょうど私がHenri Le Sidaner / アンリ・ル・シダネルについて書いた回があったじゃない、あの時ちょうど小説を読んでいて。主人公の早川織絵は大原美術館の監視員の設定なんだけど、その時、そう言えば大原美術館にシダネルの良い絵があったな…と想い出して。「食卓シリーズ」だからワインも描かれているんじゃないかなーと思って調べてみたら、やっぱりあった!と。ルソーは全然関係ないけど笑

Henri_Rousseau_-_Il_sogno

 

Frank:一番記憶に残ってる作品って何ですか?
Erico:私はJ.M.W. Turner / ターナーかな。Tate Britainに「ターナー・ルーム」があって、そこにある…名前忘れちゃったけど、手前に馬がいて後ろから黄色い光が差してもやーっと、いかにもターナーらしい絵があって、それが真っ先に出てくる。ターナーはまだ取り上げていないけど(※収録日:2019年11月23日)、多分イタリアワインであれば書けると思う。
Frank:あ、ほんと。それはぜひ書いて欲しいね。私は、上野で開催してた「プラド美術館展」で観たBartolomé Esteban Murillo / バルトロメ・エステバン・ムリーリョの作品かな。2つあって「(エル・エスコリアルの)無原罪の御宿り」と可愛らしい天使の絵(※「貝殻の子供たち」)かな。学生の時に観たんだけど。
Ei-chan:都美(※東京都美術館の略称)で10年ちょっと前くらいにやってましたよね。
Frank:そうそう。私並ぶのが嫌いだから、ギリギリ閉館間際に行って、最後まで粘ってたんですよ。半分時間を無視しながら独り占めしてたんだけど、今でも残像が残っていて。Ei-chanは何かある?
Ei-chan:迷うなー。あーでもGustav Klimt / グスタフ・クリムトの「接吻」は好きです。ウィーンに行ったんですけど、思っていたよりも小さくて、でも凄く綺麗だなと思って、1時間くらいぼーっと眺めてました。元々好きで、「接吻」っていうタイトルも可愛いし、描かれている2人の角度も可愛いし、観てみたら神々しい絵だなと。黒も綺麗な黒なんですよ。それが印象に残っています。

IMG-0476

 

Ei-chan:Ericoさんはアートをお仕事にされているんですか?
Erico:前にギャラリーで働いていたことがあって、学校は普通なんですけど。ただロンドンで、アートとデザインのショートコースに通っていました。向こうで独学で勉強して、それが始まりですかね。今はデザインをやっていて、フリーの仕事では紙モノのリーフレットとか作ったり、オーダーメイドで招待状作ったり、ウェブショップでそれを販売していたり…
Ei-chan:ワインはその中で学ばれたんですか?
Erico:知人がワインの会社を始めるというので、そのスタートアップでお手伝いするのに当たって学んだというのがキッカケです。好きでその前から飲んでましたけどね。
Frank:私はiPhone XRに替えるまでは、Ericoさんがデザインしてくれたスマホケース使ってましたよ!可愛らしいんですよ、カヌレとシナモンのデザインで。
Erico:ここで商品見られます!
Ei-chan:あ、可愛い!これをFrankさんが付けてたんですね笑。このショコラ・オレンジも美味しそう…

スクリーンショット 2019-12-15 15.27.40

 

《後編に続く》

Written by Fumi “Frank” Kimura

Special Thanks to Mr. Yoshinobu Taga & Ms. Eiko Ono

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中

WordPress.com.

ページ先頭へ ↑

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。